Psersonal record of experiences

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2018.11.17

おそろいの、おまもりを。

ある、光。

傷ついた兵士が、そっと胸元からペンダントを取り出す。
ペンダントの扉を開けると目を細めて笑う女性の写真がある。
再びペンダントの扉を閉めて、そっとキスをして彼は再び戦地へ向かう。

こどもの頃、テレビや漫画の世界でそんな光景を目にした記憶が鮮明に残っている。
わたしの記憶の中にあるロマンチックな世界には、いつも写真が寄り添っていた。

〝あなたにそっと寄り添う、おまもりのような写真を〟
このスローガンを掲げて出張写真屋を始めてから8年が経とうとしている。
「残したいものを、大切に撮影します。」
その気持ちは年々強くなる。

わたしは冒頭に書いたロケットペンダントのような、一人になった時にこっそり眺めたくなるような写真を撮って、手渡したいと思っている。
この8年、いろんな出会いがあった。
みんなそれぞれドラマがあった。いや、そもそも暮らしを営むことそのものがドラマだということをまざまざと思い知らされる8年だった。

写真を撮るということは、秘密を共有することだと思う。
愛しい人と過ごす時間を。
誰にも見せない顔を。
いつもと違う姿を。

撮った写真は暗号で、わたしとそこに写っている人しか知り得ない情報も含んでいるのだ。
記録として寄り添うその時間は、わたしにとって誓いに等しい。
「この瞬間のあなたを、絶対忘れない。だから安心して忘れていいよ。そして新しいことを覚えていこう。」
いつもそんな気持ちでシャッターを切る。

世界はどんどん変わっていく。
息を吸って吐いて、食べて寝て、それを繰り返しているだけなのに 当たり前だったことがどんどん〝かつて〟に変わっていく。
その儚さと尊さに涙が出そうになることもあるけど、変化があるということは明日があることと同じだと思うと不思議と怖くなくなるし、〝かつて〟の自分が知らない世界にいまの自分が存在していると思うとお腹のあたりからキラキラしたものが湧いてくるような気がする。

写真が溢れるいまの時代。
いい写真ってなんだろう。と、ずっと考えている。
答えはずっと出ないと思うし、それでいいと思っている。

在るものしか写せない、写真という存在がとても好きだ。
記憶という形もなく触れらない存在を、紙に焼き付けて触れる形にする行為は本当にロマンチックだと思う。
特別なポーズや、上手な指示とかそういうことはできないけれど。
そこに居るだけで・佇むだけで、あなたはうつくしいよ。と、いつも本気で思っている。

反抗期が始まった頃に聞いて以来、とても好きな歌がある。
「その不思議な扉を開けるキスや、素直に開く心の合言葉を。お揃いのキーホルダーで深く繋ぎとめた。ひとつだけ持ってて。もし失くしても あたしのを分けてあげるよ。」

誰も味方なんかいないと思っていた多感な時期に、この歌を聴きながら〝わたしも、おそろいのキーホルダーが欲しい〟と、いつも思っていた。
わたしの出張写真屋のルーツはきっとここにある。
依頼してくれた人と共に作ったおそろいのおまもり。
もし 失くしても大丈夫、わたしのを分けてあげるよ。と、言えることがようやく見つかった。
わたしは、あの頃のわたしが欲しかったものを手渡せる人になりたい。

これからも少しずつ、おまもりは増えていく。わたしと、まだ見ぬあなたと共に作るおまもりが。
その日のために、目が曇らぬよう日々精進したいと思う。

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