信じる力

  • 2022.04.22

オンライン授業を隣で見守った一年間で、知らぬ間に息子へ過度な期待を寄せていたことに気が付いた。
この違和感の正体はなんだろうなと考えた結果、 “期待を寄せる”ことから“可能性を信じる”ということへ意識と気持ちをシフトするという答えに辿り着いた。
これは自分にとって、とても大きな出来事になったと思う。
1+2が5になったり8になったりする息子に、苛立ったり落胆したりしていたのも遠い過去。
いまでは「増えると嬉しいことが世の中多いね!」と、声をかけれるようになって、そんな自分のことを結構気に入っていたりしている。

思い通りにいかない暮らしは不自由だったけど、いざ「さあ自由です!」と、一人の時間を差し出されると戸惑ってしまう。
オンライン授業が始まったときに、息子が「ほんとうの自由って、不自由のことなんだよ!」と、目を輝かせながら教えてくれたことがあったけど。
彼の不在によって際立つ二人で過ごした時間を思い出して、いままさにそのことを痛感している。

いつも隣に息子が居たので散歩ではAFのカメラしか持ち歩かなかった。
ひとりで好きなだけ好きなように立ち止まれるようになったので、久しぶりにMFの大きなカメラを持って出掛けた。
ピントが甘かったり露出がイメージ通りにいかなかったりと、現像から上がってきた散々な写真たちを見て肩を落とす。
もうちょっと撮れてるだろうと、勝手に自分自身へ期待を寄せていたようだ。
この一年で培った“可能性を信じる力”の真価を問われている気がする。
「ほんとうの自由って不自由のことなんだよ」という息子の言葉を、いま改めて噛みしめている。