陰翳礼讃
- 2017.8.2 〜 9.10
- 谷崎潤一郎記念館 ロビーギャラリー
作家・谷崎潤一郎の随筆「陰翳礼讃」の美の世界を現代の風景の中に見出し、撮り下ろした作品展。
ほの暗い影や漆黒の闇に日本的な美の本質を見てとった谷崎は、西洋近代化する社会の中で消えゆく伝統美をこよなく慈しんだ。
暮らしは変わり続けるということ。
陽は昇り沈んでゆき、雨が降り注ぎ草木が萌えるということ。
生あるものはやがて死を迎えるということ。
濃い陰の隣には、必ず強い光が寄り添うということ。
陰の中に浮かぶ景色が美しいということ。
いままでも、これからも。
そうして世界は続いてきて、これからも続いていくということ。
浮かび上がる陰翳の世界は〝光と影〟が生み出す連続体である。
谷崎が愛した陰翳は、つまりその連続していく世界そのものだったのではないだろうか。
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谷崎潤一郎が陰翳について綴った随筆「陰翳礼讚」をテーマに、わたしが暮らしの中で見つめた陰翳を谷崎氏へ手紙を書くように作品にまとめました。
時代を越えて、谷崎さんが窓から現代の景色を垣間見えるように。
あの時代と現代を繋ぐべく、額装は谷崎氏が生きた時代の窓枠や建具など彼が実際日常で目にしていたであろうものを使用しました。