自由の形

  • 2022.02.03

日本を発って丸2年が経った。

好きに始めればいいし、好きにやめていい。
しなくてはいけないことって実はそんなにないのかな、なんて近頃思う。
ようやくそう思えるようになってきた。

放り投げられたみたいに自由な2年で “自由って優しくないし実は厳しい。” ということを痛感する2年だった。
“自由”ってお布団みたいに柔らかくて優しい気がしていたけど、実際はバツゲームで用意される足ツボマットみたいな存在に近い気がする。

いまの心境というか自分のかたちは、なにかに似てるな〜と思って、少し考えてみたら。
寒くてカチカチになってたハイチュウが、あったかいところでちょっとずつ柔らかくなってきたイメージが湧いて、それがとてもしっくりきた。
ほぐれてるイメージが湧くというのは、悪くないんじゃないかな。

いろんなことを諦めたり、諦められないことを諦めずにコツコツやってるいまの自分をとても気に入っている。

旅立つ朝、朝焼けがきれいだったことを今も覚えてる。
ノイバイ国際空港に着いて外に出て、全然心が動かない瞬間だったけど「これはわたしが最初に見たハノイの景色だ」と思ってシャッターを切ったこと。
落ち着かない家で、右も左も分からない街で、息子と手をギュっと繋いで夕飯を食べに出かけたこと。
シーツもない家で、想像していたよりもずっと寒い部屋で家族三人くっついて眠ったこと。
忘れられないことがたくさんあるもんだなと、2年前の夜を反芻する。
もしかしたら2年の年月を経て、ようやく緊張がほぐれてきたのかもしれない。

“〜らしさ”みたいな概念から解き放たれつつある。
そういう気持ちで始まる3年目の生活は、どんな思い出ができるだろうか。
わがままに暮らしていこうね、と3人で話す。
大切な人を大切にして暮らしていきたい。